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東出は決戦の場に遭遇していた。 戦いを続けているのは、長谷川と廣瀬。 銃声が間断なく飛び交っている。どれほどの弾丸が支給されているのか、東出には見当がつかない。 しかし。 絶好のチャンスでもあると東出は判断した。二人は相手のみに集中している。隠れて機会をうかがっていれば、労せず二人を倒せる。彼は唇の右端を上げた。 流れるような足取りで、東出は移動を開始する。 身を隠しながら。 確実に二人を狙撃できるポイントへ―― ずきゅーん 東出の頭の上にあった木の枝が弾けた。 (見つかった!?) 身を伏せながら、東出は驚愕する。死闘の合間に不審な気配を察知したというのか。心臓がばくんと跳ねた。 「怪鳥ロプロス空を飛べ〜♪」 ばばばん 「ポセイドンは海を行け〜♪」 どどどん 「ロデム変身地をかけろ〜♪」 ずばばん 軽快な唄声とともに、三発の弾丸が全て東出の周囲をかすめた。 あれは長谷川。 やはり気付いているというのだろうか。 慎重に身を隠し、移動しながら二人の死闘を盗み見る。 「長谷川さん、やめてください! なんかそっちのキャラ気に入ってるじゃないですか!」 廣瀬が叫び、ワルサーを構える。 銃声が響いた。 またもや、東出が身を隠した石壁のかけらが宙を舞った。慌てて気配を消しながら移動をはじめる。二人に結託している様子はない。なのに何故こちらを的確に狙撃できるのだ!? それにやつらの会話はなんだ。もしや何かの暗号なのだろうか。東出は混乱した。 「もみあげ一筋三百年〜」 長谷川が身を躍らせる。 「はやいぞうまいぞやっすいぞー♪」 ばきゅーん。 パイソンが火を噴いた。 ばしん! 東出の移動先を読んだとでもいうように、目の前の石畳に銃弾が跳ねた。 やはり。彼は確信した。やつらは自分に気付いている。あれほどの決闘を繰り広げながらも周囲の注意をおろそかにしていない。 手ごわい。 いま相手にするのは得策ではない。 東出は判断し、悔しさをにじませながらその場を離脱する。 長谷川と廣瀬の不毛な争いは終わる気配を見せなかった。 【残り58人】 |