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そこは広い墓場。 「こら、それを渡せ!」 「イヤです!」 「先輩の言うことが聞けんのかぁ!」 「もみ上げを切った先輩にこれを持つ資格はありません!」 19番・長谷川昌幸と26番・廣瀬純は、廣瀬に支給された武器・ワルサーP38をめぐって激しい争奪戦を繰り広げていた。 「どうあっても渡せんと言うのだな」 「当たり前です。この武器は僕こそが持つにふさわしい銃です」 「俺のほうがほっそりしていて足も長いぞ」 「いえ、やはり重要なのはもみあげです」 二人はにらみ合う。 どのくらいの時間が経った頃だろうか、長谷川は「仕方がない」とばかりにスッと目を細め、懐に手を入れた。 「……や、やる気ですか」 「これ以上議論を重ねても平行線をたどるだけだ。今こそ決断の時」 そして長谷川が抜き放った武器を見て、廣瀬は驚愕した。 「そ、それは……!」 「そう、コルトパイソンだよ」長谷川が誇らしげに笑う。 「そんなの支給されたんなら、ワルサーP38をそんなに欲しがらなくても」 「ふん、お前がそれを持っていることが腹立たしいだけだ――いくぞ!」 ついに戦いの火蓋は切って落とされた。 激しい銃撃戦。 それは、実弾。 一発命中すれば命さえ簡単に奪うであろう、殺人の道具。 それを、二人はお互いに対して使用していた。 狂気。 二人は、そんな言葉にとりつかれているのだろうか? 武器の使用は悲しみを生み出す。 それは、解っていたことだと言うのに……。 この場での唯一の救いは、二人が発射した弾が一つたりとも目標を捉えていなかったことだ。と言うよりも、二人とも明後日の方向へ発射していた。つまり、下手だった。 「ふはははは、お前は所詮アマチュアの世界一! 俺はプロの世界一だぁ!」 ずきゅーん。 「くそぉ、今はこれが精一杯かぁー」 どきゅーん。 「ぐはは、廣瀬、お前はもう死んでいる」 「それはキャラが違います!」 ズガガガガガガ。 銘器を持っていてもそれを扱う腕がなければ役には立たない、その教訓の一例として後世に名を残す二人の不毛な戦いは、延々と続いた。 【残り61人】 【予備知識】 ワルサーP38:ルパン3世愛用の銃 コルトパイソン:冴羽遼(シティハンター)愛用の銃 ちなみに冴羽遼役の声優・神谷明はケンシロウ(北斗の拳)の声もあてている。 |