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25番・新井貴浩はてくてくと歩いていた。 一体全体何が起こってんだろうなぁ。 そうのんびりと考えながら。 どこかであがった銃声も聴いた。 殺しあえ、と言うのは本当なんだろう。 しかし現実感がなかった。 何しろ、新井に支給された武器が「スプーン」だったからだ。ゴルフで使うクラブでもなく、食事に使うときの、あのスプーンだ。 「せめてフォークにしてくれよなぁ」 そんな思いがあったのかどうか、新井はそれを見たとき深いため息をついたものである。こんな武器では、スプーン曲げの練習をして超能力でも身につけろってことか、と想像して面白がるしかないではないか。 「ふぅ」 今夜何度目かのため息をつきながら、新井は空を見上げる。 月。 丸い月が出ている。 それを見ていた新井の胸がドクンと高鳴った。 血が騒ぐ。 グオー、と言う叫びとともに新井は大猿に変身し、島全体を消滅させるほどの破壊の限りを尽くした! なんてことを想像しながら、新井はのんびりと歩いていた。もちろん新井は人間なのでそんなマンガのようなことが起きるわけがなかった。 「ま、何とかなるさ」 新井は呟く。 「天才ですから」 実際何とかなり、新井は同じくのんびりぼんやり歩いていた21番・遠藤竜志と合流した。類は友を呼ぶ、とはまさにこのことだっただろう。 「お前やる気あんの?」 「いいや」 「俺も」 「どうしよ」 「頼りになる人捜そっか」 「そうだね」 そして彼らはさらなる協力者を得るため、のんびりと歩き続けることにしたのだった。 【残り65人】 |