ネット恋愛のススメ


 近くの本屋に行くと、ダ・ヴィンチが本日発売という札と共に並べられていた。オレは即購入したのだが、これは表紙が田中麗奈だったからと言うわけではなく、表紙にデカデカと「ネット恋愛 メールで愛は買えますか?」と書かれていたからというわけでもなく、ただ単によく買う雑誌だったからだ。先月から森博嗣センセが『奥様はネットワーカ』という小説を連載しているから、ということもあった。
 それにしても、最近ネット恋愛のススメだの何だのと煽っている雑誌が多いのはどういうことだろう。流行っているのだろうか。たぶん記事を書いている雑誌記者はやったことない人が多いのだろうけど、時代の流れを読んでそれに合った記事を書かなくてはやっていけないのだろうな。大変だ。

「でも、ネット恋愛なんてあるわけないですよね!」

 そう言ってきたのは後輩だった。
 続けて彼はメールなんて続かないこと、実際に会えることなどないのだということ、会ったとしてもイメージと違うだの何だのと文句を言われること、そんなことを言う女も大抵「どこが本上まなみ似なんだ!」と怒りたくなるような人であることなどを訴えてきた。

「な、なんか切実だな」
「だってそうなんですから! ドラマや小説じゃないんですから、運命の出会いなんてあるわけありません」

 でもな、人妻とつきあい始めて真夜中にセブンイレブンの駐車場でデートを繰り返す院生とか、パソコンの使い方を教えるために女性と会ってたら交際まで発展してしかもその女性が実は人妻だと分かって大騒ぎする学生なんかも実際いるんだぞ、と言っても良いモノかどうか、オレは迷った。

「ホントにつき合ったりする人いるんですかねぇ? しかも深い仲になるなんて、僕には信じられませんけど」

 ネットで出会った男の部屋に赤ちゃんも連れて来て何時間も過ごしていく人妻もいるんだぞ、とも言えなかった。

「だいたい恋愛なんて、その状態に"なる"ものであって"する"ものじゃありません!」

 その通りだ、オレも出会い系サイトなんか恋人が見つかるわけないと思ってるんだ、だからお前もネットでの浮気なんて考えずに今いる彼女を大切にすんだな、とオレは後輩を諭した。

「えへへ、そうですよね」

 男は身勝手だ。


 女も身勝手かもしれない。


 身勝手でないと恋愛なんて出来ないんだろう。