哀しみの宇宙(そら)


「先輩、これ見て下さいよ」

 後輩がそう言って差し出してきたのは、週刊プレイボーイだった。
 オレは硬派なのでこんなものは読まない、お前も軟派はやめろ、女の裸より男たちの汗と涙で熱血するのだ、と後輩を諭したというのはウソで、ドキドキしながら後輩が指し示したページを見た(ちなみに表紙に惹かれたときは、またたびを前にしたネコのように涎をたらしながら購入するのが、オレという人間だ)。
 一目見た瞬間、オレは仰天した。

「こ、後輩、これは……」
「そうです」
「こ、こ、この服は……」
「そうなんです」

 後輩が開いたページはAVの紹介コーナだった。いくつか紹介されている中の一つに見覚えのある服を着たおねーちゃんがいたのである。

「ガンダムか」

 テロ活動にいそしむガンダムを発見した時のOZ兵士のような言葉を発しながら、オレは脱力した。このタイトル名「めぐりあい哀しみの宇宙」というのはコスプレもののAVだそうで、捕虜セイラ、ララァ&赤い彗星、最後はマチルダさんに対しアムロいきまーす、で終わるらしい。
 プレイボーイ誌自体に書いてあるが、本当に「どうしようもない」ビデオである。
 大体この写真は誰だ、セイラさんなら金髪じゃないとダメじゃないか、ちくしょー、ガンダムファンをバカにする気か、死神にたたられろ、いでよガンダムと指をならすぞコラ。

 しかしこれだと、「アムロくんが呼んでる」と言いながらホテトル嬢をやるセイラさんとか、「ザクとは違うのだよザクとは」といいながら他者と違う絶倫ぶりを発揮するオッサンとかが出てくるAVが完成する日も近いよな、と話し合う、ビデオに負けず劣らず「どうしようもない」オレ達だった。
 今日は豆をまいたので、明日はカレーを食べようと思う。